■荒木宏文（ジーン・オータス役）
僕は本当に贅沢な思いをさせてもらった舞台だったと思います。捌けずにずっと舞台上にいられたことで、特別な体験をさせてもらったという感覚が大きいです。あの体験はこの作品でしか味わえないから、公演中は「もっとやりたい」と感じていて、いつの間にか終わってしまったので、またもう一度やりたいなと思っています。劇場に来られなかった人が、もしこのBlu-ray&DVDを観たら、「やっぱり行けばよかった」と感じてもらえるほどの熱量があると思います。そう感じてもらえたら、次の機会に繋がるのかなと思うので、皆さんの「よかった！」という思いをSNSなどで発信して広げてください。僕は次に繋がるように願っていることしかできないので、ぜひ応援していただきたいですね。

■丘山晴己（ニーノ役）
僕はこの作品で、自分自身がひと皮むけたかなと思います。今回の舞台では、今まで自分が逃げていた部分と正面から向き合わないといけないこともあって、いろんな人たちに助けられて、そこを乗り越えていけたことが良かったです。とてもいい経験になったし、この先ずっと記憶に残っていきますね。あと、荒木君も言っていたように、役者にとって一番嬉しいことはステージ上に居続けることだから、自分にとっては大きな課題でもあったけど、思い返してみるととても貴重だったし、すごい宝物を与えてもらえたような気がします。そういう意味でも、心の中にしっかりと残る作品になりました。

■石井幸一（脚本・演出）
今回収録されている映像は公演期間の真ん中辺りですけど、ちょうど役者たちの感度が抜き差しならないほど研ぎ澄まされた状態で、感覚的な繋がりも強くなっていた時期だったと思います。集団的に集中力が高まり、幕も暗転もない舞台で、ただ歩き続けていた2時間でした。あの時は劇場の中で、お客さんと一緒に旅をしているような感覚でしたね。Blu-ray&DVDではその旅の一端を垣間見て、ジーンの旅の記録を感じていただけたらなと思います。あと個人的なことでは、この『ACCA』は現実の世界情勢とリンクする部分もあり、異文化同士がお互いに寛容になって受け入れることを鋭く描いた作品なので、演出家として今の時代にこういう題材に取り組めたことは、とても有り難かったなと思います。